父や母、娘や息子などの家族が家出をした時、または失踪をして行方不明になってしまった時に、警察に行方不明者届(捜索願)を提出すると捜索活動を行ってくれることがあります。
しかし残念ながら、警察が必ず行方不明になった家族を探してくれるわけではありません。
警察に捜索をしてもらうためには、「特異行方不明者」として認定される必要があります。
この「特異行方不明者」に認定されるためにはどうすればいいのでしょうか。
特異行方不明者と一般行方不明者
家族が家出・失踪をして行方不明になった時、警察に行方不明者届を提出すると、
- 特異行方不明者
- 一般行方不明者
のどちらかに分類されます。
このとき「一般行方不明者」として認定されてしまうと、警察は行方不明者の捜索をしてくれません。
単純な家出や事件や事故の恐れが低いと警察が判断すると、「一般行方不明者」に分類されてしまいます。
「一般行方不明者」として認定されると、警察の行方不明者データーベースに登録されるだけで、積極的な捜索活動はしてくれません。
警察に行方不明になった家族を探してもらうためには、「特異行方不明者」に認定してもらう必要があるのですね。
人探し・行方不明者探しというのは、一般人にとって非常に難しいものです。
家出や失踪をして行方不明になった家族を探し出すには、「特異行方不明者」に認定してもらうことが最も良い方法となります。
それではどうすれば、「特異行方不明者」として認定してもらえるのでしょうか。
特異行方不明者に認定される条件
国により規定された「行方不明者発見活動に関する規則」では、
- 殺人、誘拐等の犯罪により、その生命又は身体に危険が生じているおそれがある者
- 少年の福祉を害する犯罪の被害にあうおそれがある者
- 行方不明となる直前の行動その他の事情に照らして、水難、交通事故その他の生命にかかわる事故に遭遇しているおそれがある者
- 遺書があること、平素の言動その他の事情に照らして、自殺のおそれがある者
- 精神障害の状態にあること、危険物を携帯していることその他の事情に照らして、自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある者
- 病人、高齢者、年少者その他の者であって、自救能力がないことにより、その生命又は身体に危険が生じるおそれがあるもの
以上の行方不明者を、「特異行方不明者」として定めています。
もう少し簡単に説明すると
- 事件に巻き込まれた可能性
- 事故に巻き込まれた可能性
- 自殺をする可能性
- 精神障害がある時
- 病人・高齢者・子供なので自救能力がない時
これらの状態であると警察が判断すると「特異行方不明者」として認定されるということです。
行方不明者届を提出するときに証拠を示す必要あり
警察に「特異行方不明者」として判断してもらうために、行方不明者届を提出するときにその証拠を提出してアピールしなければいけません。
例えば、遺書を残して家出をしたときなどはきちんと遺書を証拠として警察に提出する必要があるのですね。
警察は行方不明者届が提出されても、基本的には「一般行方不明者」に分類します。
「特異行方不明者」として認定されるためには特段の事情が必要なので、そのための証拠を示す必要があるのですね。
それでは次にそれぞれのケースにおいて、どのような証拠を示せばよいのかについて見ていきましょう。
事件に巻き込まれた可能性があるとき
家族が何の前触れもなく突然に家出・失踪をしたときは、何らかの事件に巻き込まれた可能性を考えますよね。
しかし警察に認めてもらうためには何らかの証拠が必要です。
- 部屋が荒らされている
- 部屋に血痕がある
- ストーカーに付きまとわれていた
- 脅迫を受けていた
- 自転車が乗り捨てられている
など、犯罪に巻き込まれた可能性がある証拠を警察に示しましょう。
中学生以下の未成年の子供が突然に書置きもなく家出・失踪をした場合などは、誘拐の可能性もあるので警察は事件性ありと判断してくれることも多いです。
高校生になると何らかの犯罪に巻き込まれた証拠がないと、事件性ありと判断してくれないかもしれません。
さらに成人(大人)になると、かなりの証拠がない限り、警察は事件性ありと判断して「特異行方不明者」として認定してくれないでしょう。
とにかく警察に犯罪の事件性があると判断してもらうためには証拠を示す必要があるので、証拠をそろえたうえで行方不明者届を提出することを忘れないでください。
事故に巻き込まれた可能性があるとき
家族が何の前触れもなく突然に家出・失踪をしたときは、何らかの事件もしくは事故に巻き込まれた可能性を考えますよね。
この事故についても事件と同様に警察に何らかの証拠を示す必要があります。
- 釣りに行って帰ってこない
- 山登りに行って帰ってこない
- 山菜取りに行って帰ってこない
など、何らかの事故に巻き込まれた可能性を警察にきちんと説明する必要があります。
警察も人間ですので、こちらの真剣な様子でその判断が変わってくることも当然ですがあります。
「普段はきちんと連絡も取れて、家出の経験や様子も全くなかった」ということなどを、きちんと説明することが大事になってきますね。
自殺をする可能性があるとき
遺書を残して家族が家出・失踪した時などは、自殺の可能性があると警察が判断をして捜索活動をしてくれるでしょう。
その場合は、遺書を警察に提出することが必要となります。
また「自殺未遂をしたことがある」などの前歴があることを警察に伝えることも大事です。
すぐに探し出さないと命の危険性があるということを、警察に理解してもらうことが必要となってくるのですね。
精神障害があるとき
家族がうつ病で病院に通院しているときなどは、その診断書を警察に提出しましょう。
うつ病であるときは自傷・自殺の可能性があると判断して、警察が捜索をしてくれることがあります。
また統合失調症の既往履歴があり、他人に危害を加える可能性があると判断されたときも、警察は特異行方不明者に認定して捜索をしてくれることがあります。
家出をした家族に、これら精神障害の既往歴があるときは、診断書などを提出しましょう。
病人・高齢者・子供なので自救能力がないとき
何らかの病気を持つ家族、認知症などの高齢者、中学生以下の子供が家出・失踪をしたときは、それらを証明するものを警察に提出しましょう。
具体的には、
- 病気の診断書
- 認知症の診断書
- 子供の年齢を証明するもの
などを提出するといいでしょう。
例えば、インシュリンを数時間ごとに打つ必要のある糖尿病の家族が、インシュリンを持たずに家出・失踪をした時などは、特異行方不明者に認定してもらえる可能性があります。
また徘徊癖のある認知症の家族が突然に失踪した時なども、特異行方不明者に認定してもらえるでしょう。
子供の場合は、小学生が家出・失踪をした時はまず間違いなく特異行方不明者に認定してもらえるでしょう。
中学生の場合は、過去の家出歴や素行などを勘案して判断されますが、特異行方不明者に認定してもらえる可能性は高いと思います。
高校生の場合は、何らかの証拠がないと特異行方不明者に認定してもらうことは難しいかもしれません。それほど家出をする高校生は多いのですね。
単純な家出ではなく、何らかの事件・事故に巻き込まれている可能性を警察に説明する必要があるでしょう。
特異行方不明者に認定してもらえなかった場合
特異行方不明者に認定してもらえなかった場合、警察は積極的に捜索活動をしてくれません。
家族が自分たちで捜索活動をする必要があるということです。
捜索活動で最も大事なことはスピードです。
いかに早く行方不明になった家族を探し出せるかが、勝負になってくるのですね。
特異行方不明者に認定してもらえなかったということは、家族が自分の意思で家出をしたという可能性が高いと思います。
しかし家出だからと言って放置しておくと、そのまま会うことができないということもあります。
また息子や娘が家出した場合、悪い不良グループとかかわり犯罪を起こしたり、お金を稼ぐために見知らぬ男性の自宅に居候することもよくあります。
このような事態にならないためにも、できるだけ早く探してあげることが必要です。
探偵に人探しを依頼することも考えましょう
一般人に人探し・行方不明者探しは非常に難しいです。
家出人を探すには、やはり人探しのプロである探偵に依頼することが最も効果的でしょう。
実際に探偵事務所では、人探しの依頼がとてもたくさんあります。
もちろん探偵に依頼したからと言って100%家族が見つかるというわけではありませんが、間違いなく見つかる可能性は上がるでしょう。
大切な家族を見つける確率を上げるためにも、プロに依頼することを考えてみてはいかがでしょうか。